付録B:概念マップ

このページは目次ではありません。17章を「何を前提にし、何を作り、次にどの判断へ進むか」という依存関係で読み直す、読者向けのテキストマップです。図やスクリプトがなくても、各部の目的、章の入力と出力、次に進む理由を確認できます。

B.0 使い方

  • 全体像を先に確認する: 4部の順序は、思考の土台 → AI協働 → 成果物 → 組織運用です。後の部ほど前の部で定義した判断材料を再利用します。
  • 途中から読む: 自分の目的に近い目的別ルートから入り、表の「前提」を満たす章へ戻ってください。
  • 成果物へ接続する: 各章の出力を 付録A:実践的なツール・テンプレート集 のテンプレート、付録C:用語集 の定義、付録D:図版索引 の図版で補強します。

B.0.1 依存の読み方

前提 はその章で先に整理しておく情報、出力 は次の章や実務で再利用できる判断材料です。矢印は「必ずこの順で読まなければならない」という意味ではなく、説明責任のある成果物を作る場合に自然な依存順を示します。

目的 → 情報分類 → 論証 → 指示設計 → 評価・検証 → 成果物 → 承認・再利用 → 継続改善

B.1 4部の依存関係

この部の目的 主な入力 次の部へ渡すもの
第1部:思考・論証・判断の土台 第1〜4章 課題、情報、論証、意思決定を分解する 業務上の問い、事実、制約 目的、論点、根拠、仮説、評価軸
第2部:AI協働の実務基盤 第5〜9章 AIを使う前後の設計、検証、リスク管理を定義する 第1部の目的・根拠・評価軸 task brief、出力仕様、検証記録、承認条件
第3部:成果物を作る 第10〜13章 読み手の判断に使える文書、説明、会議、交渉へ変換する 検証済み情報、出力仕様、リスク条件 提出可能な成果物、合意、次アクション
第4部:組織導入と継続運用 第14〜17章 個人の実践をチーム、プロジェクト、学習へ展開する 成果物、承認、ログ、テンプレート 運用ルール、責任分界、KPI、更新・廃止条件

B.1.1 全体の学習・実務フロー

  1. 問いを定義する(第1〜4章): 目的、論点、事実、仮説、評価軸を分ける。
  2. AI協働を設計する(第5章): task brief、context design、output schema、受け入れ基準をそろえる。
  3. 出力を検証する(第6〜9章): 根拠、誤情報、provenance、情報分類、prompt injection、承認条件を確認する。
  4. 読み手向けの成果物にする(第10〜13章): 文書、プレゼン、会議、交渉へ変換する。
  5. チームとプロジェクトへ組み込む(第14〜16章): マルチモーダル素材、責任、テンプレート、KPI、変更管理を運用する。
  6. 更新可能な資産にする(第17章): 学習、更新確認、改善ログ、廃止条件を残す。

B.2 第1部:思考・論証・判断の土台

第1部は、AIを使うかどうかに関係なく必要な「何を判断するのか」を定義します。第5章以降の task brief や評価基準は、この部の分解結果を前提にします。

前提 章の目的 出力と次の依存
第1章:なぜ今、論理的思考が必要なのか 業務の課題と読み手 論理的思考を成果物、判断、説明責任に接続する 学ぶ理由と成果物の品質基準 → 第2章・第4章
第2章:論理的思考の基本構造 目的と問い 前提・論点・根拠・反論・結論の関係を整理する 論証の骨格 → 第3章・第7章・第10章
第3章:情報の整理と分析 論点と入力情報 事実・解釈・仮説・推定・推奨を分ける evidence matrix と要確認事項 → 第6章・第7章
第4章:問題解決の論理プロセス 問題、仮説、評価軸 問題設定から意思決定までの手順を設計する 選択肢、評価軸、意思決定条件 → 第5章・第16章

B.3 第2部:AI協働の実務基盤

第2部は「AIに入力すれば答えが出る」という流れを採用せず、入力前の分類、出力後の評価、リスク確認、人間の承認を一続きの工程として扱います。

前提 章の目的 出力と次の依存
第5章:AIへの指示(プロンプト)設計 第1〜4章の目的、論点、制約 task brief、context design、output schema、受け入れ基準を設計する 評価可能な指示と出力仕様 → 第6章・第8章
第6章:AIの出力を評価・改善する 出力仕様と評価基準 CARE、根拠、リスク、承認条件でAI出力をレビューする evaluation rubric、改善指示、評価ログ → 第7章・第10章
第7章:批判的思考とメディアリテラシー 主張、出典、評価ログ 誤情報、source hierarchy、provenance、synthetic contentを検証する fact-check log と検証済み主張 → 第9章・第10章
第8章:AI活用の具体的場面 標準フローと検証条件 research、drafting、analysis、meeting、proposalを業務へ適用する 場面別の利用設計 → 第10〜14章
第9章:AIリスク管理と倫理的配慮 情報分類、出力、検証記録 data classification、privacy、IP、prompt injection、監査ログを管理する 承認条件、責任分界、監査可能な記録 → 第15章・第16章

B.4 第3部:成果物を作る

第3部は、検証済みの材料を読み手の判断に使える形へ変換します。文書、説明、会議、交渉は別々の技能ではなく、目的・根拠・反論・承認を共有する成果物の経路です。

前提 章の目的 出力と次の依存
第10章:論理的な文書作成 根拠、読み手、出力仕様 1枚サマリー、提案書、報告書、稟議メモを設計する 判断可能な文書 → 第11〜13章・付録A
第11章:説得力のあるプレゼンテーション 文書の主張と根拠 プレゼン、経営説明、想定Q&Aを設計する 説明の順序と質問への回答 → 第12章・第13章
第12章:効果的な会議・議論術 議題、参加者、判断点 会議、議事録、意思決定ログ、合意形成を設計する 決定、未決、担当、期限 → 第13章・第16章
第13章:論理的な交渉・説得術 相手の課題、提案、反論 ヒアリング、提案骨子、反論処理、交渉を組み立てる 合意条件、次アクション、未合意リスク → 第15章・第16章

B.5 第4部:組織導入と継続運用

第4部は、個人が作った成果物を組織の運用へ移します。導入後も、責任者、レビュー、変更管理、学習と廃止条件が残っていなければ、テンプレートやAI利用は再現可能な資産になりません。

前提 章の目的 出力と次の依存
第14章:日常業務での実践 業務素材と情報分類 PDF、画像、表、グラフ、画面などを含むマルチモーダル活用を整理する 入力素材の出所・利用可否・確認事項 → 第15章
第15章:論理的思考を活かしたリーダーシップ 成果物、承認、責任分界 テンプレート、prompt資産、レビュー、役割分担をチーム運用にする 責任者、レビュー手順、再利用条件 → 第16章・第17章
第16章:プロジェクト管理と問題解決 目標、KPI、変更、決定ログ 導入計画、評価、変更管理、改善をプロジェクトとして進める KPI、リスク、変更履歴、次の評価日 → 第17章
第17章:継続的学習と思考力向上 学習記録、更新確認、資産 継続学習、能力開発、更新確認、テンプレート廃止を運用する 学習・更新・廃止の記録 → 次の業務サイクルへ戻る

B.6 目的別ルート

目標から入る場合のルートです。各ルートは章の代替ではなく、目的に応じた入口と、依存する前提へ戻る道を示します。

目的 入口 推奨ルート 到達点
AIに依頼する前の整理をしたい 第5章 第1章第3章第5章付録A task brief、情報分類、出力仕様
AI出力を提出前に検証したい 第6章 第2章第3章第6章第7章第9章 evaluation rubric、fact-check log、承認条件
1枚サマリーや提案書を作りたい 第10章 第4章第5章第6章第10章第11章 / 第13章 判断可能な文書、説明、反論処理
会議を決定につなげたい 第12章 第4章第8章第12章第16章 議事録、意思決定ログ、改善条件
AI利用をチームへ導入したい 第15章 第9章第10章第12章第15章第16章 役割、レビュー、KPI、変更管理
図版から概念を確認したい 付録D:図版索引 第2章第5章第6章付録D 図版の用途、限界、関連章
用語の意味を確認しながら読みたい 付録C:用語集 用語 → 関連章 → 付録A / 付録D 定義、適用場面、実務テンプレート

B.7 使い終わった後のフィードバックループ

成果物を提出して終わりにせず、結果の確認 → 問い・前提の更新 → 指示とテンプレートの改善 → 再利用条件の記録へ戻します。第16章のKPIや変更管理と、第17章の学習・廃止条件を使うと、うまくいかなかった理由も資産として残せます。

  • 事実・根拠が不足した場合は、第3章と第7章へ戻る。
  • 出力が読み手の判断に合わない場合は、第4章・第5章・第10章へ戻る。
  • リスクや承認の不足が見つかった場合は、第9章・第15章へ戻る。
  • 手順が古くなった場合は、第16章・第17章で更新日、所有者、廃止条件を見直す。