第9章:完了からナレッジ化(FAQ/Runbook/ADRへの流し込み)

この章で学ぶこと

  • 完了時に「残すべき情報」を選別する
  • FAQ/Runbook/ADR など再利用先へ転記する
  • ナレッジの Owner と更新タイミングを決める

成果物(書けるようになるもの)

  • 完了コメント(結論/根拠/運用影響/残タスク)を書ける
  • 転記先(FAQ/Runbook/ADR)とリンクを追加できる

本文

Issue は「作業ログ」としては有効だが、運用で再利用しやすい形ではないことが多い。完了時に整形して移す。

転記の判断

  • 繰り返し起きる: FAQ/Runbook
  • 判断の背景が重要: ADR
  • 手順が重要: 手順書/Runbook
  • 事故の学び: ポストモーテム

完了の定義に「ドキュメント更新」を含める(運用ルール)

実装が終わっても、運用で再利用できなければ「次に同じ事故が起きる」。完了(Done)の最小要件として、必要なドキュメント更新を含める。

  • 変更が運用に影響する: Runbook/手順書(復旧/ロールバック/問い合わせ対応)
  • 判断の背景が重要: ADR(なぜその選択をしたか)
  • 問い合わせが繰り返される: FAQ(短く再利用)

更新したドキュメントは、Issue/PR の完了コメントで相互リンクする(「どこに残したか」を迷わせない)。

参考(書式/粒度): https://itdojp.github.io/engineering-documentation-book/

注意点(転記のコツ)

  • Issue は“作業ログ”として残し、再利用先(FAQ/Runbook/ADR)には結論と判断根拠を要約して残す(機微情報の貼り付けは要注意)
  • Owner と更新タイミング(どのイベントで見直すか)を決めないと、ドキュメントが陳腐化しやすい
  • “やらない選択”でクローズする場合も、理由と再オープン条件は残す(付録: トリアージ判断表の「対応しない」判断)

具体例(悪い例→良い例)

悪い例

Close します。
結論/変更/影響が残らない

良い例

結論: バリデーションを追加し誤操作率を低減
変更: PR #456
影響: エラーメッセージが変更
運用: FAQ を更新(リンク)
残タスク: 文言ポリシーの整備(Issue #789)

チェックリスト

  • 結論/変更点/影響が残っている
  • 転記先が決まっている(必要に応じて)
  • Owner/更新タイミングが決まっている

まとめ

  • 完了時に結論/根拠/影響/残タスクを残し、後から追える状態にする
  • Runbook/FAQ/ADR などの再利用先へ転記し、Owner と更新タイミングを決める

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