第7章:インシデント時の初動(証跡 / 報告 / 隔離)
この章で学ぶこと
- 初動は「証跡保全→報告→隔離」を基本とし、被害拡大が継続している場合は隔離を先行する
- 誤操作を増やさない(権限 / 手順を統制する)
- 関係者への連絡粒度を固定する
- 個人情報・秘密情報の漏えい疑いでは、影響範囲と報告 / 通知判断を分ける
成果物(または判断基準)
- 初動チェック(チェックリスト集)
- 状況共有の最小テンプレ(チーム内で統一)
本文
初動で拙速に操作すると、証跡が消えたり影響を拡大しやすい。手順を固定する。
隔離の例: 公開停止、権限剥奪、トークン失効。原則は証跡(ログ / 設定)を先に確保するが、被害拡大が進行している場合は最小操作で隔離を先行し、証跡保全は並行して行う。
図の要点: 原則は証跡保全から始める。被害が継続している場合だけ最小隔離を先行・並行し、その後は報告、影響範囲、法務・プライバシー窓口による通知判断を分けて記録する。
漏えい疑いの初動で分ける判断
秘密情報と個人情報では、初動の優先順位と関係者が異なる。どちらも「問題なし」と即断せず、判断を分けて記録する。
| 論点 | 確認すること |
|---|---|
| 何が漏れたか | 秘密情報、個人情報、要配慮個人情報等の機微度の高い情報、本番ログ、設定情報の区別 |
| 影響範囲 | 対象ユーザー、期間、アクセス元、公開範囲、二次被害の可能性 |
| 即時隔離 | 公開停止、共有リンク停止、権限剥奪、鍵 / トークン失効、AI / 外部サービスからの削除依頼 |
| 証跡保全 | ログ、設定差分、共有リンク、PR / Issue、AI / 外部サービス投入履歴 |
| 報告 / 通知判断 | 社内窓口、委託元、法務 / プライバシー窓口、本人通知、監督機関報告の要否 |
| 再発防止 | 分類表、チェックリスト、Runbook、権限棚卸し、ログマスキングの更新 |
個人情報に関する報告や本人通知の要否・期限は、法令、契約、委託関係、組織規程で変わる。現場判断だけで確定せず、所定の窓口にエスカレーションする。
2026-05-23 時点では、個人情報保護委員会の漏えい等対応資料が、速報、確報、本人通知、報告対象の整理を案内している。実務では「何日以内」と本文に固定せず、最新の一次情報、委託契約、社内規程を確認して期限と担当を記録する。
状況共有テンプレ(最小)
関係者への報告は、項目を固定して情報の抜け漏れを減らす。
- 発生時刻(推定可):
- 概要(何が起きたか、1-2行):
- 影響範囲(誰に / どこに):
- 現在の状況(進行中か / 停止できているか):
- 情報分類(秘密情報 / 個人情報 / 要配慮個人情報等の機微度の高い情報 / 社外秘など):
- 実施した対応(証跡保全 / 隔離):
- 次のアクション(担当 / 期限):
- 報告 / 通知判断の担当:
- 証跡(チケット、ログ、設定差分のURL等):
注: 被害拡大が継続している(攻撃 / 漏えいが進行している)場合は、最小操作で隔離を先行しつつ、証跡保全を並行する。 例: 「公開停止 / 権限剥奪」→「ログ / 設定の保全」→「関係者へ状況共有」。
具体例(悪い例→良い例)
悪い例
まず設定を変更して復旧を試みる
証跡を残さない
良い例
証跡保全(ログ / 設定の取得)
報告(関係者 / 窓口)
隔離(公開停止 / 権限剥奪 / トークン失効)
影響範囲と報告 / 通知判断を別項目で記録
チェックリスト
- 証跡を確保した
- 報告経路が分かっている
- 隔離手順がある
- 情報分類と影響範囲を記録した
- 報告 / 通知判断の担当を決めた
- 個人情報保護委員会、契約、社内規程の最新情報で速報・確報・本人通知の要否を確認した
まとめ
- 初動は「証跡保全→報告→隔離」を基本とし、拙速な変更で影響を拡大させない
- 操作権限と手順を統制し、状況共有の粒度(項目)を固定する
- 秘密情報・個人情報の漏えい疑いでは、影響範囲、隔離、報告 / 通知判断、再発防止を分けて記録する
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