6. エピゲノム・マルチオミクス解析

6.1 エピゲノム解析技術

DNAメチル化解析:

class MethylationAnalyzer:
    """バイサルファイトシークエンシング解析"""
    
    def __init__(self, reference_genome):
        self.reference = reference_genome
        
    def call_methylation(self, bam_file):
        """
        CpGサイトのメチル化率計算
        """
        methylation_levels = {}
        
        for cpg_site in self.get_cpg_sites():
            # メチル化/非メチル化リード数をカウント
            meth_count, unmeth_count = self.count_reads(
                bam_file, cpg_site
            )
            
            # ベータ値の計算
            beta = meth_count / (meth_count + unmeth_count)
            methylation_levels[cpg_site] = beta
            
        return methylation_levels

ChIP-seq解析:

  • ヒストン修飾・転写因子結合部位の同定
  • ピーク検出アルゴリズム(MACS2)
  • 差次的結合解析

ATAC-seq/クロマチンアクセシビリティ:

  • オープンクロマチン領域の同定
  • ヌクレオソーム位置の推定
  • 転写因子フットプリント解析

6.2 マルチオミクス統合

データ統合手法:

class MultiOmicsIntegrator:
    """マルチオミクスデータ統合"""
    
    def __init__(self):
        self.omics_layers = {}
        
    def add_omics_layer(self, name, data):
        """オミクス層の追加"""
        self.omics_layers[name] = data
        
    def integrate_by_mofa(self):
        """
        MOFA(Multi-Omics Factor Analysis)による統合
        """
        # 因子分析による潜在因子の抽出
        factors = self.extract_factors()
        
        # 各オミクス層の寄与度評価
        contributions = self.evaluate_contributions()
        
        return factors, contributions

ネットワーク統合:

  • 遺伝子制御ネットワークの構築
  • マルチレイヤーネットワーク解析
  • 因果推論

6.3 時系列オミクス解析

時間的ダイナミクスのモデリング:

class TimeSeriesOmics:
    """時系列オミクスデータ解析"""
    
    def fit_temporal_model(self, expression_matrix, time_points):
        """
        スプライン回帰による時間変化モデリング
        """
        from scipy.interpolate import UnivariateSpline
        
        temporal_profiles = []
        
        for gene in expression_matrix:
            # スプラインフィッティング
            spline = UnivariateSpline(
                time_points, gene, s=0.5
            )
            temporal_profiles.append(spline)
            
        return temporal_profiles

🎯 認定試験ポイント

重要概念チェックリスト

エピゲノム基礎 ⭐⭐⭐

  • DNAメチル化・ヒストン修飾・クロマチン構造の関係を理解している
  • CpGアイランド・ショア・シェルフの定義と機能を説明できる
  • エピジェネティックな遺伝・可逆性の概念を把握している
  • 発生・分化におけるエピゲノム変化の役割を理解している

エピゲノム解析技術 ⭐⭐

  • ChIP-seq・ATAC-seq・WGBS・RRBS等の技術原理を比較できる
  • ピークコーリング・差次的結合解析の統計的手法を理解している
  • エンハンサー・プロモーター・インスレーター領域の同定法
  • 3Dクロマチン構造解析(Hi-C・4C-seq)の原理

マルチオミクス統合 ⭐⭐⭐

  • ゲノム・トランスクリプトーム・エピゲノムデータの統合戦略
  • 次元削減手法(PCA・t-SNE・UMAP)の生物学的解釈
  • ネットワーク解析によるマルチオミクス統合
  • 因果推論とパスウェイ解析の手法

臨床応用 ⭐⭐

  • エピゲノムバイオマーカーの発見手法
  • 薬物応答性とエピゲノム変化の関連
  • がん・神経疾患でのエピゲノム異常
  • エピゲノム編集技術の原理と応用

典型的な出題パターン

【技術原理】

問題例: ChIP-seqとATAC-seqの技術的違いと、
得られる情報の違いを説明せよ。

解答: 
ChIP-seq: 特定タンパク質(転写因子・ヒストン修飾)の結合部位
ATAC-seq: クロマチンアクセシビリティ(オープンクロマチン領域)
→ ChIP-seqは特異的、ATAC-seqは包括的なクロマチン状態情報

【データ統合】

問題例: RNA-seqとChIP-seqデータを統合して
遺伝子発現制御を解析する際の手順を述べよ。

解答: 
1) ChIP-seqピークと遺伝子プロモーター/エンハンサーの関連付け
2) 発現変動遺伝子とエピゲノム変化の相関解析
3) 転写因子結合モチーフ解析
4) 制御ネットワークの構築と可視化

【統計・品質管理】

問題例: DNAメチル化解析においてWGBSとRRBSの
使い分け基準を3つの観点から説明せよ。

解答: 
1) カバレッジ: WGBS(全ゲノム網羅)vs RRBS(CpG密集領域)
2) コスト: WGBS(高コスト)vs RRBS(低コスト)
3) 解像度: WGBS(1塩基)vs RRBS(制限酵素サイト依存)

関連する付録・章

  • 付録G: 認定試験全体の対策情報
  • 付録H: エピゲノム解析ツール・データベース一覧
  • 第5章: トランスクリプトーム解析(発現との統合)
  • 第7章: 機械学習・AI手法(統合解析手法)
  • 第14章: 臨床応用(診断・治療への応用)

前へ: トランスクリプトーム解析 目次 次へ: 機械学習・AI応用