第2章:基本コマンドでLinuxを探検しよう

📚 この章の前提知識

  • 必要: 第1章でLinuxサーバーを構築した経験
  • 必要: ターミナルにコマンドを入力できる
  • 不要: コマンドの詳細な仕組みの理解
  • 不要: プログラミング経験

🎯 この章の目標

  • Linuxシステムを「探検」する感覚でコマンドを覚える
  • ファイルとディレクトリの基本操作をマスターする
  • システム情報を調べる方法を身につける

🚀 この章でできるようになること

  • ファイルの作成・移動・削除が自在にできる
  • システムの状態を確認するコマンドが使える
  • 困ったときに「調べる」コマンドがわかる

2.1 はじめに:Linuxの世界を歩き回ろう

第1章でLinuxサーバーを動かすことができました。今度は、そのLinuxの中を探検してみましょう。

まるで新しい街に来たとき、地図を見て、お店を覗いて、道を歩いてみるように、Linuxの世界を歩き回ってみます。

🔍 Level 1(概要): コマンドは「魔法の言葉」

Linuxでは、「コマンド」という魔法の言葉を使って、コンピュータに指示を出します。

📝 Level 2(具体例): 街を歩くように探検

新しい街での探検を想像してください:

🏘️ 新しい街での探検
├─ 📍 今いる場所を確認 → pwd コマンド
├─ 👀 周りに何があるか見る → ls コマンド  
├─ 🚶 別の場所に移動 → cd コマンド
├─ 📝 メモを残す → echo, cat コマンド
└─ 🗂️ 荷物を整理 → mkdir, mv, rm コマンド

📝 今すぐ試そう(1分)

# 現在いる場所を確認
pwd

# 周りに何があるか見てみる
ls

# 隠しファイルも含めて詳細表示
ls -la

# 自分が誰かを確認
whoami

⚡ Level 3(技術詳細): コマンドの基本構造

コマンド名  オプション  引数
    ↓        ↓      ↓
   ls      -la    /home
   
動詞     副詞    目的語
(何を)  (どのように) (どこで)

2.2 現在地を把握する:pwdとls

迷子にならないための基本

🗺️ 現在地の確認方法
┌─────────────────────┐
│  pwd               │  ← 今いる場所の住所
│  (Print Working    │     /home/admin
│   Directory)       │
└─────────────────────┘
         ↓
┌─────────────────────┐
│  ls                │  ← 周りに何があるか
│  (List)            │     file1.txt
└─────────────────────┘     folder1/

📝 今すぐ試そう(2分)

# 現在の場所を確認
pwd

# ファイルの一覧を表示
ls

# 詳細情報付きで表示
ls -l

# 隠しファイルも含めて表示
ls -a

# すべての情報を表示
ls -la

# 別のディレクトリの中身を覗いてみる
ls /
ls /home
ls /etc

ファイルタイプの見分け方

ls -laの結果の読み方:

drwxr-xr-x  2 admin admin 4096 Mar 15 10:30 Documents/
-rw-r--r--  1 admin admin  123 Mar 15 10:25 hello.txt
lrwxrwxrwx  1 admin admin   10 Mar 15 10:20 link -> hello.txt

最初の文字の意味:
d = ディレクトリ(フォルダ)
- = 通常のファイル  
l = リンク(ショートカット)

2.3 移動する:cdコマンド

Linuxの住所システム

🏠 Linuxの住所(パス)
/(ルート) 
 ├─ home/           ← 住宅街
 │   ├─ admin/      ← あなたの家
 │   └─ user2/      ← 隣の家
 ├─ etc/            ← 設定街
 ├─ var/            ← データ街
 │   └─ log/        ← ログ倉庫
 └─ tmp/            ← 一時置き場

📝 今すぐ試そう(3分)

# ホームディレクトリに移動
cd

# 現在地を確認
pwd

# ルートディレクトリに移動
cd /

# 中身を確認
ls

# ホームに戻る
cd ~

# 相対パスで移動
cd ..        # 一つ上の階層
pwd
cd -         # 直前にいた場所に戻る
pwd

パスの種類

📍 絶対パス vs 相対パス

絶対パス(住所全部):
/home/admin/Documents/report.txt
↑ 必ず / から始まる

相対パス(今いる場所から):
Documents/report.txt     ← 現在地から
../admin/Documents/      ← 一つ上の階層から  
./file.txt              ← 現在地(明示的)

2.4 ファイルを作る・見る・消す

📝 Level 1(概要): ファイルの基本操作

ファイルは「作成」「表示」「移動」「削除」の4つの操作が基本です。

📝 Level 2(具体例): メモ帳として使ってみる

📝 デジタルメモ帳
┌─────────────────────┐
│ echo "内容" > file  │  ← 新しいメモを作成
└─────────────────────┘
         ↓
┌─────────────────────┐
│ cat file           │  ← メモの内容を表示
└─────────────────────┘
         ↓
┌─────────────────────┐
│ rm file            │  ← メモを削除
└─────────────────────┘

📝 今すぐ試そう(5分)

# 新しいファイルを作成
echo "Hello, Linux!" > greeting.txt

# ファイルの内容を表示
cat greeting.txt

# ファイルが作成されたか確認
ls -la greeting.txt

# ファイルに追記
echo "Welcome to the terminal!" >> greeting.txt

# 内容を再確認
cat greeting.txt

# ファイルをコピー
cp greeting.txt backup.txt

# ファイルの一覧確認
ls *.txt

# ファイルの名前を変更
mv greeting.txt welcome.txt

# ファイルを削除
rm backup.txt

# 最終確認
ls *.txt

⚡ Level 3(技術詳細): ファイル操作コマンド一覧

コマンド 機能
touch 空ファイル作成 touch newfile.txt
echo テキスト出力/ファイル作成 echo "text" > file.txt
cat ファイル内容表示 cat file.txt
cp ファイルコピー cp file1.txt file2.txt
mv ファイル移動/名前変更 mv old.txt new.txt
rm ファイル削除 rm file.txt

⚠️ よくある間違いと対処法

間違い: rm *(すべてのファイルを削除してしまう)

# 危険:現在ディレクトリのすべてを削除
rm *

# 安全:削除前に確認
rm -i *.txt     # 削除前に確認
ls *.txt        # 対象ファイルを事前確認

2.5 フォルダ(ディレクトリ)の操作

フォルダは「箱」

📦 フォルダ操作の基本
┌─────────────────────┐
│ mkdir project       │  ← 新しい箱を作る
└─────────────────────┘
         ↓
┌─────────────────────┐
│ cd project         │  ← 箱の中に入る  
└─────────────────────┘
         ↓
┌─────────────────────┐
│ rmdir project      │  ← 空の箱を捨てる
└─────────────────────┘

📝 今すぐ試そう(3分)

# 新しいディレクトリを作成
mkdir my_project

# ディレクトリに移動
cd my_project

# 現在地を確認
pwd

# ディレクトリ内にファイル作成
echo "プロジェクト開始" > readme.txt

# ディレクトリ内容確認
ls -la

# 上の階層に戻る
cd ..

# ディレクトリごと削除(中身がある場合)
rm -rf my_project

# 削除されたか確認
ls my_project

2.6 システム情報を調べる

コンピュータの健康診断

🏥 システムの健康診断
┌─────────────────────┐
│ uptime             │  ← どのくらい動いているか
└─────────────────────┘
┌─────────────────────┐
│ free -h            │  ← メモリの使用状況
└─────────────────────┘  
┌─────────────────────┐
│ df -h              │  ← ディスクの空き容量
└─────────────────────┘
┌─────────────────────┐
│ ps aux             │  ← 動いているプログラム
└─────────────────────┘

📝 今すぐ試そう(3分)

# システムの稼働時間
uptime

# メモリ使用状況
free -h

# ディスク使用状況  
df -h

# 現在のプロセス(上位10個)
ps aux | head -10

# 自分のプロセスのみ
ps aux | grep $USER

# システム情報
uname -a

# 現在の日時
date

情報の読み方

$ free -h
              total        used        free      shared  buff/cache   available
Mem:           2.0G        200M        1.2G        8.0M        600M        1.6G

total:    搭載メモリ総量
used:     使用中メモリ
free:     完全に空いているメモリ  
available: 実際に使用可能なメモリ

2.7 困ったときの調べ方

📝 Level 1(概要): ヘルプ機能で自己解決

Linuxには「困ったときに調べる」機能が充実しています。

📝 Level 2(具体例): 辞書を引くように調べる

🔍 コマンドの調べ方
┌─────────────────────┐
│ man command        │  ← 詳細マニュアル
└─────────────────────┘
┌─────────────────────┐
│ command --help     │  ← 簡単ヘルプ
└─────────────────────┘
┌─────────────────────┐
│ which command      │  ← コマンドの場所
└─────────────────────┘
┌─────────────────────┐
│ history            │  ← 過去に使ったコマンド
└─────────────────────┘

📝 今すぐ試そう(2分)

# コマンドのマニュアルを見る
man ls
# (qキーで終了)

# 簡単なヘルプを見る
ls --help

# コマンドがどこにあるか調べる
which ls
which cat

# 過去に使ったコマンドを確認
history

# 特定のコマンドを検索
history | grep ls

⚡ Level 3(技術詳細): マニュアルの読み方

manページの構造:
NAME        - コマンド名と簡単な説明
SYNOPSIS    - 使用方法の要約
DESCRIPTION - 詳細な説明
OPTIONS     - オプションの説明
EXAMPLES    - 使用例
SEE ALSO    - 関連コマンド

2.8 まとめ:探検の成果

🎯 この章で覚えたコマンド

分類 コマンド 機能
場所 pwd 現在地確認
  ls ファイル一覧
  cd 移動
ファイル cat 内容表示
  echo テキスト出力
  cp コピー
  mv 移動/名前変更
  rm 削除
フォルダ mkdir 作成
  rmdir 削除
システム uptime 稼働時間
  free メモリ状況
  df ディスク状況
  ps プロセス一覧
ヘルプ man マニュアル
  --help 簡単ヘルプ
  history コマンド履歴

🚀 次章への準備

基本的なコマンドでLinuxを探検できるようになりました。次章では、「なぜLinuxがこのような設計になっているのか」という背景を理解していきます。

実践で身につけた知識に、理論的な裏付けを加えることで、より深い理解が得られるでしょう。


次章へ: 第3章 ITインフラにおけるLinuxの役割