Kubernetes: Proxmox検証からクラウド本番へ

本書は、Proxmox 上の検証 Kubernetes から、クラウド上の本番 Kubernetes へ移行することを前提に、設計・手順・運用を整理する実務ガイドです。

学習成果

  • 検証環境(Proxmox)と本番環境(クラウド)の責務分界を説明できる
  • 検証→本番で差分が出る箇所(LB/Storage/Identity/Observability 等)を前提に、作業の優先順位を設計できる
  • raw YAML / Kustomize / Helm の使い分けを、運用要件(再現性/変更容易性/監査性)から判断できる
  • 検証・本番それぞれで破壊的操作のリスクを評価し、実行手順に注意事項を付与できる

想定読者

  • 検証環境として Proxmox を使い、Kubernetes の学習・検証を行いたい方
  • 将来的にクラウド(Managed Kubernetes を含む)へ移行する前提で、手戻りを減らしたい方
  • Kustomize / Helm を「実運用の前提」で体系的に整理したい方

前提知識

  • Linux の基本操作(SSH、ファイル操作、systemd の基本)
  • Kubernetes の基礎(Pod/Service/Deployment の概念)
  • Git の基本(履歴、差分、ブランチ)

所要時間(目安)

  • Quickstart(最短ルート): 2〜6 時間(環境に依存)
  • 全章通読 + 検証: 1〜3 週間(並行作業・経験に依存)

読み方ガイド

Quickstart から入る場合は、次の 3 点だけ先に固定すると迷いにくくなります。

安全に使うための注意

本書の手順は、検証環境から本番環境へ移るときの判断材料を整理するためのものであり、そのまま本番へ適用してよいことを保証するものではありません。特に次の点を先に確認してください。

  • Proxmox 側の検証では、VM の再作成、ストレージ再初期化、kubeadm reset 相当の操作は、データ損失や停止を招く
  • クラウド側では、Load Balancer、Block Storage、Identity、監視基盤の仕様差で手順や課金が変わる
  • 本番反映前には、etcd backup、マニフェストの差分確認、ロールバック手順、メンテナンス時間帯を先に固定する

検証と本番の差分が気になった場合は、第2章と付録の Version Matrix / トラブルシューティングを先に確認してから本文へ戻ると判断しやすくなります。

実務適用前の Proxmox→Cloud 移行レビューゲート

本書の検証手順をクラウド本番へ昇格する前に、次の観点を必ず確認してください。

  • 2026-05-23(Asia/Tokyo)時点の公式情報では、Kubernetes は v1.36 系が最新で、サポート対象 minor は v1.36 / v1.35 / v1.34 です。本文の v1.35 例はまだサポート対象ですが、新規構築・移行計画では公式リリース情報と Version Skew Policy を再確認します。
  • Proxmox VE は検証基盤です。2026-05-23 時点では Proxmox VE 9.1 が利用可能であるため、手元の検証基盤との差分(VM snapshot、SDN、vTPM、ストレージ)を Version Matrix に記録します。
  • ingress-nginx は公式に Retirement が告知され、2026年3月以降は新規リリース、bugfix、security update が提供されない前提です。検証例として残す場合も、本番では Gateway API または維持されている Ingress Controller への移行計画を必須にします。
  • Proxmox 検証の MetalLB / local-path / kubeadm / ローカル認証を、クラウド本番の Load Balancer / CSI / Managed Kubernetes / IAM・SSO へどこで置き換えるかを、切替前チェックリストに落とし込みます。
  • バックアップ、DR、監視、ログ、Secret、証跡、費用、責任分界は「クラウドに移せば解決」ではありません。各 provider / 組織標準の責任範囲を確認し、復旧演習まで完了してから本番化します。

目次

ライセンス

本書は CC BY-NC-SA 4.0 で公開されています。商用利用は別途契約が必要です。

フィードバック

Kubernetes、CNI、CSI、Ingress Controller、クラウド機能の前提は変化します。実運用に適用するときは、本書の記述だけで閉じず、利用中のディストリビューション、クラウド、アドオンの公式ドキュメントやリリースノートを必ず併読してください。