付録A:思考ツールテンプレート集

本書で紹介した各種思考ツールのテンプレートを提供します。これらを活用して、日常業務での思考プロセスを体系化してください。

特にAIを併用する場合は、「アイデアが出た」だけで終わらず、要件定義書・ADR・PR・Runbook・インシデント記録などの成果物に反映し、検証と記録を残すことが重要です。

A.1 要件定義テンプレート

ステークホルダー分析マトリクス

| ステークホルダー | 影響度 | 関心度 | 主要関心事 | 対応策 |
|------------------|--------|--------|------------|--------|
| 経営層           | 高     | 中     |            |        |
| 現場責任者       | 中     | 高     |            |        |
| エンドユーザー   | 高     | 高     |            |        |
| IT部門           | 中     | 高     |            |        |

要件確認チェックリスト

  • 機能要件は明確に定義されているか?
  • 非機能要件(性能、可用性、セキュリティ)は明記されているか?
  • 制約条件は全て洗い出されているか?
  • 前提条件は関係者で合意されているか?
  • 優先順位は明確になっているか?

受入基準テンプレート

| 対象(機能/仕様) | 受入基準(Given/When/Then) | 優先度 | 備考 |
|------------------|-----------------------------|--------|------|
|                  |                             |        |      |

前提・未確定事項ログ(Assumption/Question Log)

| 項目 | 種別(前提/質問/決定) | 状態(未確認/確認済/却下) | 根拠 | 次アクション |
|------|-------------------------|----------------------------|------|-------------|
|      |                         |                            |      |             |

A.2 設計・技術選定テンプレート

技術評価マトリクス

| 評価軸             | 重み | 技術A | 技術B | 技術C |
|--------------------|------|-------|-------|-------|
| パフォーマンス     | 0.25 |       |       |       |
| スケーラビリティ   | 0.20 |       |       |       |
| 保守性             | 0.20 |       |       |       |
| コスト             | 0.15 |       |       |       |
| エコシステム       | 0.20 |       |       |       |
| **総合得点**       |      |       |       |       |

リスク評価テンプレート

| リスク項目 | 発生確率 | 影響度 | リスク値 | 対策 |
|------------|----------|--------|----------|------|
|            | 1-5      | 1-5    | 確率×影響 |      |

ADR(Architecture Decision Record)テンプレート

# ADR-0001: タイトル(例:検索拡張生成の採用)

- **状態**: 提案 / 採用 / 廃止
- **日付**:
- **意思決定者**:

## コンテキスト
- 背景(課題・制約・前提)
- 現状の問題

## 決定
- 採用する方針(何を、なぜ)

## 代替案
- 代替案A(採用しない理由)
- 代替案B(採用しない理由)

## トレードオフ
- 得られる効果
- 失うもの(リスク・運用負荷・コスト)

## 影響範囲
- 設計/実装への影響
- 運用/セキュリティへの影響

## 検証計画
- 受入条件(何が満たされれば成功か)
- 評価方法(テスト/計測/レビュー)

A.3 レビューテンプレート

コードレビューチェックリスト

必須項目 (MUST)

  • セキュリティ脆弱性はないか?
  • 明確なバグは存在しないか?
  • パフォーマンス上の重大な問題はないか?

推奨項目 (SHOULD)

  • コードの可読性は適切か?
  • 適切なエラーハンドリングが実装されているか?
  • テストは十分にカバーされているか?

提案項目 (COULD)

  • より良い実装方法があるか?
  • 将来の拡張性を考慮されているか?

PRテンプレート(AI利用の記録を含む)

### 変更概要

### 変更理由(背景/チケット)

### AI利用(有無・範囲)
- 生成した成果物:
- 入力した情報の種類(機密/個人情報を含まないこと):
- AI出力の扱い(採用/却下/編集):

### 検証
- 自動テスト:
- 静的解析:
- 手動確認:
- セキュリティ観点(入力/権限/ログ):

### リスクとロールバック

### 関連リンク(ADR/Runbook等)

A.4 問題解決テンプレート

根本原因分析(5 Whys)

問題: _______________

なぜ1: _______________
なぜ2: _______________
なぜ3: _______________
なぜ4: _______________
なぜ5: _______________

根本原因: _______________
対策: _______________

インシデント対応テンプレート

# インシデント対応記録

## 基本情報
- **発生日時**: 
- **検出日時**: 
- **解決日時**: 
- **担当者**: 
- **重要度**: P1/P2/P3/P4

## 現象
### 症状
- 

### 影響範囲
- 

## 対応記録
### タイムライン
- HH:MM - 

### 実施した対策
1. 

## 根本原因
- 

## 恒久対策
- [ ] 短期対策(期限:)
- [ ] 長期対策(期限:)

## 学習事項
### 良かった点
- 

### 改善点
- 

Runbookテンプレート(運用手順)

# Runbook: タイトル

## 目的

## 前提(対象システム/権限/注意事項)

## 手順(Step-by-step)
1.

## 検証(成功条件)

## ロールバック

## 承認ゲート(例)
- 観測・読み取り系:
- 変更系:
- Runbook外:

## 監査ログ(残す情報)
- 実施者/承認者
- 実行内容(コマンド/設定変更)
- 実行結果(影響/復旧確認)
- 参照したログ/メトリクス

A.5 AI活用テンプレート

プロンプトエンジニアリングテンプレート

## Context
[背景情報・制約条件]

## Task
[具体的なタスク]

## Requirements
[要求事項・制約]

## Format
[出力形式の指定]

## Examples
[期待する出力例]

AI出力評価チェックリスト

  • 要求に正確に答えているか?
  • 情報の正確性は確認済みか?
  • セキュリティ上の問題はないか?
  • ビジネス要件を満たしているか?
  • 実装可能な内容か?

A.6 SOP運用ルーブリック(例)

SOPに沿ってAIを活用できているかを、自己点検やレビュー時に確認するための簡易ルーブリックである。

観点 不十分 最低限 良い
タスク定義 目的や制約が曖昧 目的・制約・判断点が書けている 意思決定点と成功条件まで明確
情報分類 入力情報の扱いが不明 入力可否の区別がある 匿名化/最小開示の方針まで整理
入力設計 依頼が抽象的 出力形式・禁止事項がある 根拠資料や評価基準まで含む
検証 出力を採用しがち 人間レビュー/一次情報確認がある テスト・計測・再現確認まで実施
反映/記録 成果物に残らない 成果物に反映される 判断理由とログが追跡可能

これらのテンプレートを活用して、より体系的で効率的な思考プロセスを実践してください。