付録D:実務会話例集(成果物まで落とす)

本付録では、AIエージェントとの対話を「会話で終わらせず、成果物まで落とす」ための会話例をまとめます。各例は、AIエージェント協働の標準手順(SOP)8ステップを意識して構成しています。

例1:要件分解(受け入れ条件/GWT化)→タスク分割

想定シーン

機能追加の要件が曖昧で、実装タスクに落とせない。

推奨自律度

Level 0(提案のみ)または Level 1(変更案生成まで)

依頼(人間 → AI)

目的: 要件を受け入れ条件に落とし、実装タスクに分割したい。
成果物: 1) Gherkin(Given-When-Then)形式の受け入れ条件 2) タスク一覧 3) リスクと確認事項
制約: 現時点で不明点が多い。断定せず「要確認」を明示して質問してほしい。
入力: (要件メモを貼る。機密は伏せる)

まず不足情報の確認質問を出し、次にPlanを提示してから、私のGoで成果物を作ってください。

確認質問(AI → 人間)例

  • ユーザー種別(誰が使うか)と利用シナリオは何か
  • 受け入れ条件(成功/失敗)はどう定義するか
  • 既存仕様(例外/境界値/権限/性能要件)はあるか
  • リリース期限と段階リリースの可否

承認(人間 → AI)

回答: (質問に回答)
Go: 提示したPlanで進めてください。

最終出力(AIの出力例)

  • 受け入れ条件(GWT): 3〜7本
  • タスク一覧: 5〜15件(優先度/依存関係つき)
  • 要確認: 未確定事項と決めるべき意思決定点
  • リスク: 想定リスクと検証観点

例2:ADRドラフト作成(代替案比較・トレードオフ・リスク)

想定シーン

設計の意思決定を、後で説明できる形で残したい。

推奨自律度

Level 0(提案のみ)

依頼(人間 → AI)

目的: 設計判断をADRとして残す。
成果物: 付録CのADRテンプレートに沿ったドラフト
制約: 一次情報がない箇所は「要確認」として残し、断定しない。
入力: 現状/制約/候補案(A/B/C)を箇条書きで渡す。

最初に確認質問 → Plan → Go の順で進めてください。

最終出力(AIの出力例)

  • 付録C のADRテンプレートに沿った Markdown
  • 各案のトレードオフ(性能/コスト/保守性/セキュリティ)
  • 検証計画(何を測るか、期限、成功条件)

例3:バグ調査(再現手順→仮説→ログ観点→最小修正案)

想定シーン

障害/不具合の再現が不安定で、切り分け方針が必要。

推奨自律度

Level 0(提案のみ)または Level 2(実行前レビュー必須)

依頼(人間 → AI)

目的: 不具合の原因を切り分けるための調査計画を作る。
成果物: 1) 再現手順(最小化)2) 仮説リスト(優先度つき)3) 取得すべきログ/メトリクス 4) 最小修正案(差分案)
制約: 外部アクセス不可。推測で断定しない。まず観測と再現性の確保を優先する。
入力: 事象、発生頻度、直近変更、ログ断片(機密は伏せる)

停止条件の例

  • ログが不足して原因推定の精度が低い場合は、実行せず「追加で必要な観測点」を提示して止める。

最終出力(AIの出力例)

  • 再現手順(最短パス)と「観測点チェックリスト」
  • 仮説リスト(High/Med/Low などの優先度)
  • 最小修正案(diff形式の案)とテスト方針

例4:コードレビュー(指摘カテゴリ、優先度、回帰リスク)

想定シーン

PRのレビュー観点を漏れなく整理したい。

推奨自律度

Level 0(提案のみ)

依頼(人間 → AI)

目的: コードレビューの観点と指摘案を整理する。
成果物: 1) 指摘一覧(必須/推奨/任意)2) 回帰リスク 3) 追加テスト案
制約: セキュリティ/可用性/保守性の観点を含める。断定せず根拠を併記する。
入力: 変更差分(または要約)、設計意図、関連チケット

最終出力(AIの出力例)

  • 指摘カテゴリ: 仕様逸脱 / バグ / セキュリティ / パフォーマンス / 可読性 / テスト
  • 重要度: MUST/SHOULD/COULD
  • 追加テスト: 単体/結合/回帰の候補

例5:変更差分生成(パッチ形式、影響ファイル一覧、テスト方針)

想定シーン

軽微な修正を差分案として作り、レビューしやすくしたい。

推奨自律度

Level 1(変更案生成まで)または Level 2(実行前レビュー必須)

依頼(人間 → AI)

目的: 修正をレビューしやすい差分として提示する。
成果物: 1) 変更方針 2) 影響範囲 3) パッチ(diff)案 4) テスト/検証方針 5) ロールバック案
制約: 既存の意味を変えない。用語の勝手な言い換え禁止。差分は最小化する。
入力: 対象ファイル、現状の問題点、期待する状態

まずPlanを提示し、Goで差分案を出してください。

最終出力(AIの出力例)

  • 影響ファイル一覧(追加/変更/削除)
  • パッチ案(diff 形式)
  • 検証手順(リンク切れ・コードフェンス・レンダリング等)

例6:インシデント初動支援(状況整理→切り分け→暫定対処→恒久対策→ポストモーテム草案)

想定シーン

緊急対応で情報が散らばり、判断がぶれる。

推奨自律度

Level 0(提案のみ)または Level 2(実行前レビュー必須)

依頼(人間 → AI)

目的: 初動対応のチェックリストと、ポストモーテム草案を作る。
成果物: 1) まず確認すべき観測点 2) 仮説リスト 3) 暫定対応案(ロールバック含む)4) 恒久対策案 5) 付録Cのポストモーテムテンプレに沿った草案
制約: 破壊的操作は提案まで。実行手順は必ず承認ゲートを前提にする。機密情報は貼らない。
入力: 事象、影響、タイムライン断片、直近変更、ログ断片(機密は伏せる)

最終出力(AIの出力例)

  • 初動チェックリスト(「今やる/後でやる」を分ける)
  • 仮説と切り分け手順(観測→判断の順)
  • ポストモーテム草案(付録C テンプレに沿う)