ROI計算(サンプル):クラウド移行 Phase1
本ページは、交渉時に「ROIが不明確」という懸念へ対応するための計算例です。数値はサンプルであり、実案件では一次情報(見積、請求、稼働実績、障害実績)に基づいて更新してください。
1. 前提(例)
1.1 期間と対象
- 対象: 非クリティカル系(Phase1)
- 評価期間: 12ヶ月(導入後)
1.2 現状コスト(オンプレ)
| 項目 | 月額(例) | 備考 |
|---|---|---|
| ハード/保守 | 150万円 | 更改費は別途 |
| 運用人件費 | 250万円 | 定常運用、障害対応含む |
| 障害による損失 | 120万円 | ダウンタイム/機会損失の期待値 |
| 合計 | 520万円 |
1.3 移行後コスト(クラウド)
| 項目 | 月額(例) | 備考 |
|---|---|---|
| クラウド利用料 | 200万円 | コンピュート/ネットワーク/ストレージ |
| 運用人件費 | 140万円 | 自動化/マネージド活用で削減 |
| 障害による損失 | 30万円 | 可用性改善を反映 |
| 合計 | 370万円 |
1.4 初期投資(Phase1)
- 設計/構築/検証の追加コスト: 800万円(一時費用)
2. 計算式(例)
- 年間削減額(Benefit)
=(現状月額 - 移行後月額)× 12 - ROI(単純)
=(年間削減額 - 初期投資)/ 初期投資 - 投資回収期間(Payback Period)
= 初期投資 / 月次削減額
3. 試算結果(例)
- 月次削減額: 520万円 - 370万円 = 150万円
- 年間削減額: 150万円 × 12 = 1,800万円
- ROI(単純): (1,800万円 - 800万円) / 800万円 = 125%
- 投資回収期間: 800万円 / 150万円 = 約5.3ヶ月
4. 交渉での示し方(例)
ROIが低く見える場合は、次の論点を分解して説明する。
- Phase1 の目的: 収益最大化ではなく、リスクを抑えて移行可能性を実証すること(失敗コストの上限を設計する)
- Phase2 の前提: Phase1 の成果(設計/運用/ガバナンス)が Phase2 の成功確率を上げる
- 定量化の範囲: 直接費だけでなく、障害損失、開発速度、セキュリティ監査対応コストなども段階的に反映する
5. 感度分析(例)
月次削減額が変動した場合の回収期間の目安。
| 月次削減額 | 回収期間 |
|---|---|
| 50万円 | 約16.0ヶ月 |
| 100万円 | 約8.0ヶ月 |
| 150万円 | 約5.3ヶ月 |
6. 最低限の根拠資料(チェックリスト)
- 現状の月次費用(保守/運用/回線/電力等)
- 障害実績(件数、平均復旧時間、業務影響)
- クラウド見積(構成、利用量、割引前提)
- 運用設計(監視、当番、Runbook、自動化範囲)