はじめに
本書の目的
クラウドインフラストラクチャは、現代のIT基盤において欠かせない技術となりました。しかし、多くのエンジニアが感じているのは、「理論は理解できるが、実際の設計・構築でどう判断すればよいかわからない」という悩みです。
本書は、クラウドインフラエンジニアが実際の業務で直面する設計・構築の課題に対して、なぜその選択をするのかという原理原則と実装判断の根拠を丁寧に解説する実践書です。
単なる操作手順書ではなく、変化し続けるクラウド技術に対応できる「考え方」を身につけることを最重要視しています。
本書の特徴
概念と実装のバランス
- 概念説明 30%: 設計の背景にある原理原則
- 実装アプローチ 50%: 具体的な設計・構築手法
- 運用考慮点 20%: 継続的な改善と最適化
対象読者
- クラウドインフラエンジニア(経験年数 1〜5年)
- オンプレミス環境からクラウドへの移行を検討している方
- より体系的なクラウド知識を身につけたい方
インフラ未経験者や、Linux・ネットワークの基礎をまだ学んでいない方は、先に入門書や基礎的なトレーニングで土台を固めてから本書を読み進めることを推奨します。
扱う技術範囲
主要クラウドプロバイダー(AWS、Azure、GCP)に共通する概念と実装パターンを中心に、プロバイダー固有の特徴も適切に解説します。コードや設定の具体例では主にAWSのサービスやAPIを用いますが、対応するサービスを選択することで他クラウドにも同様の考え方を適用できます。
本書の構成
第一部:基礎編(第1〜2章)
クラウドコンピューティングの本質と、インフラ設計に必要な共通概念を理解します。
第二部:コアサービス編(第3〜5章)
仮想マシン、ストレージ、ネットワークなど、クラウドインフラの中核となるサービスの設計・構築を学びます。
第三部:運用管理編(第6〜8章)
セキュリティ、監視、コスト管理など、継続的な運用に必要な知識を身につけます。
第四部:先進技術編(第9〜10章)
サーバーレス、コンテナ、Infrastructure as Code など、次世代のクラウド技術を理解します。
第五部:統合編(第11章)
エンタープライズグレードのアーキテクチャパターンと実践事例を通じて、総合的な設計能力を養います。
学習の進め方
- 順次学習: 章の順番通りに進めることで、知識が段階的に積み上がります
- 実践重視: 各章の内容を実際の環境で試してみることを強く推奨します
- 継続的な参照: 実務での疑問が生じた際の参照書として活用してください
本書で身につく能力
- 要件に応じた適切なクラウドアーキテクチャの設計
- コスト効率と性能のバランスを考慮した実装
- セキュリティとコンプライアンスを満たす設計
- 運用性を考慮した監視・ログ管理体制の構築
- 変化する要件に対応できる拡張性のある設計
特に、中小規模〜中規模の業務システムや、プロダクトチーム単位で担当するサービスについて、要件定義から本番運用までを見据えたクラウドアーキテクチャを自律的に提案・設計できるようになることを一つの到達イメージとしています。
クラウドインフラエンジニアとして、一歩先を行く設計・構築能力を身につけるための実践的なガイドとして、本書をご活用ください。