AI時代のプロフェッショナルITエンジニアの思考法
生成AIを活用した技術的意思決定とステークホルダーマネジメントの実践的フレームワーク
概要
2024年、生成AIはITエンジニアの日常的なツールとなりました。しかし、優秀なエンジニアと平均的なエンジニアの差は、AIの登場によってむしろ拡大しています。その差を生むのは、依然として「思考のプロセス」です。
本書は、AI時代のプロフェッショナルなITエンジニアが持つべき思考プロセスを可視化し、体系化したものです。AIツールを最大限活用しながら、人間にしかできない高度な判断を行うための実践的ガイドです。
本書の特徴
- 技術領域に依存しない:ソフトウェア開発、インフラ、データ、セキュリティなど幅広い領域で活用可能
- AI活用を前提:生成AIと協働しながら高度な判断を行うフレームワークを提供
- 実践的アプローチ:具体的なケーススタディとテンプレートで即座に適用可能
- 体系的な構成:6つの章で思考プロセスを段階的に習得
この本でできるようになること
- 要件定義からアーキテクチャ設計、実装、運用、危機対応まで、一連の意思決定プロセスを共通フレームワークとして捉え直せるようになる。
- 生成AIを含む各種ツールの出力を批判的に評価し、「任せる部分」と「人間が判断すべき部分」を意識して切り分けられるようになる。
- 技術的負債やリスク、ROI などの概念を用いて、技術的判断をビジネス価値と結びつけて説明できるようになる。
- ステークホルダーとのコミュニケーションにおいて、抽象度を切り替えながら合意形成を進めるための思考パターンを身につけられる。
目次
はじめに
- まえがき - AI時代における思考法の意義
本編
第1章: エンジニアの思考OS
基本的な認知フレームワーク
- 抽象化と具体化の往復運動
- トレードオフの定量化手法
- 技術的負債の経済学的評価
- AI時代のエンジニアリング思考フレームワーク
第2章: 要件定義の認知プロセス
曖昧性との戦い
- 顧客の言語と技術の言語の変換機構
- 隠れた制約条件の発見手法
- スコープクリープの予防的制御
- AIを活用した要件定義の高度化
第3章: アーキテクチャ設計の意思決定
未来への投資
- 将来の不確実性への対処戦略
- 技術選定マトリクスの構築
- リスクとリターンの定量評価
- AI時代のアーキテクチャ設計
第4章: 開発/構築フェーズの最適化思考
チーム生産性の科学
- レビュープロセスにおける交渉術
- 技術的妥協点の見極め方
- チーム生産性の数理モデル
- AI支援開発における品質保証
第5章: ステークホルダーマネジメント
技術と経営の架け橋
- 経営層への技術説明フレームワーク
- 予算獲得のためのROI提示手法
- リスクコミュニケーション戦略
- AI活用を前提とした経営コミュニケーション
第6章: 危機管理と問題解決
火消しの科学
- インシデント対応の優先順位付け
- 根本原因分析の思考プロセス
- ポストモーテムの価値最大化
- AIを活用したインシデント対応の高度化
付録
想定読者
- 技術的には一定の経験を積んだが、より上位の判断を求められるようになったエンジニア
- テックリードやアーキテクトとして、技術選定や設計判断の責任を負う立場の人
- エンジニアリングマネージャーとして、チームの生産性と成果に責任を持つ人
- 経営層とエンジニアリング現場の間で、橋渡し役を担う人
読み方の目安
- すでに技術リードやアーキテクトとして意思決定を担っている読者は、第1章・第3章・第6章を中心に読み、必要に応じて第2章・第4章・第5章で具体的なプロセスやステークホルダーマネジメントの詳細を補完するとよい。
- キャリア初期〜中盤のエンジニアが「上位レイヤの思考」を俯瞰したい場合は、第1章を起点に全体像を掴んだうえで、第2章〜第4章を順に読み進めると、日々の業務と結びつけやすい。
- マネージャーや経営層に近い立場の読者は、第5章・第6章を先に読み、技術判断と経営判断のつながりや危機管理の観点を理解したうえで、必要に応じて他の章を拾い読みするとよい。
著者について
ITDO Inc.
株式会社アイティードゥは、ITエンジニアの技術力向上と組織の成長を支援する企業です。
📄 ライセンス
本書は Creative Commons BY-NC-SA 4.0 ライセンスで公開されています。
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