付録1:実践チェックリスト集

この付録は、本書の内容を「そのまま現場で再現する」ためのチェックリスト集である。各チェックリストは、状況に応じて取捨選択し、チームの運用に合わせて更新してよい。

A1. 会議前チェックリスト(技術議論/意思決定)

  • 目的(何を決める/何を決めない)を1文で書ける
  • 成功条件(会議の終わりに何が残るか)が明確である
  • 前提(制約、既知の事実、未確定事項)を分離できている
  • 論点を3〜5個に絞れている(詰め込みを避ける)
  • 参加者の役割(決定者/提案者/レビュー/オブザーバ)が明確である
  • 事前に読める資料(Context Package)を用意した
  • タイムボックスを設定した(議論/決定/次アクション)

A2. 会議中チェックリスト(発散/脱線の制御)

  • いまの議論が「事実」「解釈」「提案」「決定」のどれかを明示する
  • 論点が変わったら、議題を更新する(議論の流れを可視化する)
  • 未決事項は「宿題」として切り出し、担当・期限を設定する
  • 決定事項はその場で文書化し、合意確認する
  • 感情的な摩擦が見えたら、論点と感情を分離して扱う

A3. 非同期依頼チェックリスト(Slack/Teams/メール)

  • 依頼の目的(何のために)が1文で書ける
  • 依頼の成果物(文章/レビュー/判断/作業)が明確である
  • 期限(いつまでに)と、期限の根拠(なぜその期限か)が書ける
  • 受け手が必要な前提(背景/制約/既存情報)に到達できるリンクがある
  • 緊急度(いますぐ/当日/数日/今週)が明確である
  • 返信不要の情報共有なのか、返信が必要なのかを明示する

A4. PRレビュー依頼チェックリスト

  • 変更の目的(なぜ変えるのか)をPR本文に書いた
  • 影響範囲(どこが変わる/変わらない)を列挙した
  • リスクとロールバック手順を簡潔に書いた(必要なら)
  • レビュワーに求める観点(設計/仕様/セキュリティ/運用)を明示した
  • テスト観点と実施結果が書かれている(手順/ログ/スクリーンショット等)

A5. インシデント初動チェックリスト(社内向け)

  • 事実(何が起きているか)を時系列で書ける
  • 影響範囲(ユーザー/機能/地域/時間)を推定できている
  • 優先度(P0/P1等)とエスカレーション先が明確である
  • 現在の対応状況(誰が何をしているか)が見える
  • 次の更新時刻(次回アナウンス)を宣言した

A6. 仕様変更/要件変更の受け方チェックリスト

  • 変更要求の背景(なぜいま必要か)を確認した
  • 変更の受け入れ条件(何ができれば完了か)を確認した
  • 影響(納期/コスト/品質/運用)を分解して説明できる
  • 代替案(スコープ調整/段階リリース/延期)の候補を用意した
  • 合意事項(決定/保留/宿題)を文書化した

A7. フィードバック(指摘する側)チェックリスト

  • 指摘の目的(改善したい成果)が明確である
  • 人ではなく行動・成果物に対して述べている
  • 具体例(いつ/どこで/何が)を提示できる
  • 次に取るべき行動が合意できる粒度である
  • 相手の負荷(時間/コンテキスト)を考慮した提案になっている

A8. フィードバック(受ける側)チェックリスト

  • 事実確認と解釈を分けて聞けている
  • 追加の前提や期待値を質問できている
  • 反論ではなく確認(理解)を優先できている
  • 次のアクション(やる/やらない/保留)を合意できている

A9. 1on1準備チェックリスト

  • 直近1〜2週間の事実(成果/詰まり/不安)を箇条書きにした
  • 相談したいテーマを1〜3個に絞った
  • 自分が欲しい支援(意思決定/優先度調整/レビュー/学習)を言語化した
  • 期待値(何が解消できればよいか)を明確にした

A10. AI支援を使う前のチェックリスト(任意)

  • 入力する情報に機密/個人情報/契約情報が含まれない(または社内規程に従う)
  • 出力は一次情報(ログ/チケット/仕様/コード)で検証する前提である
  • 出力物の責任主体は人間側にあることを明確にする
  • 生成物をそのまま送信せず、前提・誤り・表現をレビューする

A11. 演習シナリオ集(会社組織の頻出10シーン)

このシナリオ集は、各章末の「実践」で題材として使えるように整理したものである。必要に応じて、付録2「テンプレート・フォーマット集」の成果物を作る。

  • 設計レビューで反対意見を出す/受ける(論点整理 → 合意形成)
  • PRレビュー依頼・指摘・合意(レビュー観点の明確化)
  • 障害時の状況共有(社内/顧客向けの初動連絡)
  • 要件変更の受け方(制約 → 代替案 → 合意条件)
  • 優先度調整(PM/営業/CSとの摩擦の解消)
  • 「技術的に無理」の翻訳(価値変換と落としどころ)
  • リスク説明(定量/定性の使い分け、意思決定材料の提供)
  • 会議の設計/短縮/議事録の運用(タイムボックスと成果物)
  • 1on1/フィードバック(関係維持を含む)
  • キャリア面談(成果の翻訳、次の成長計画)